溶連菌感染症
小児科で発熱、かゆみのある発疹、咽頭痛などを起こす細菌感染腫です。溶連菌にはいくつかのタイプがありますが、このような症状で一般によく知られているのが「A群溶血性連鎖球菌」です。この菌は咽頭痛の他、皮膚や皮膚組織での感染微生物の1つとなります。
よくみられる症状は以下の通りです。
・急性咽頭炎
・膿痂疹(のうかしん:皮膚の炎症)
・蜂窩織炎(ほうかしきえん:皮下組織の炎症)
・猩紅熱(しょうこうねつ:かゆみのある紅斑と咽頭痛がある)
がメインとなります。
以前では、無治療である場合には、血尿やむくみが生じる急性糸球体腎炎、リウマチ熱(関節、心臓と血管、神経の症状)がありますが、近年では発症はまれです。
この感染症に罹患した場合、学校・幼稚園・保育園には、適切な抗菌薬投与を行い、24時間の解熱を確認し全身状態がた場合には登園が可能と、学校保健安全法に明記されております。多くの地域では出席停止として扱われます。
診察では、発熱、咽頭の発赤、リンパの腫れなどを含め、多くの場合には10分以内に判明する「迅速検査キット」で診断します。繰り返す場合には咽頭の細菌培養検査(検査結果が判明するまで数日)もあります。迅速診断キットでは、他の種類の連鎖球菌でも陽性結果が出たり、菌数が少ない時には偽陰性となる場合もあります。症状がなく保菌している場合にも陽性となりますので、症状経過を含めた判断が必要となります。
溶連菌の治療には、第一選択となるペニシリン系の抗生剤の内服が必要です。最低でも7日間は内服、推奨としては10日であります。セフェム系でも5日間内服すれば十分です。
ただ、長期の抗生剤内服により、薬疹が生じることもあります。数日間の内服後、かゆみのある発疹が出現した際には、担当医にご相談をして今後の治療をお伺いすることが重要となります。
以前では、前述の溶連菌感染後による急性糸球体腎炎の早期発見のための尿検査をルーチンで行っておりましたが、近年では発症頻度は稀であることから、実施の必要はございません。