アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは、皮膚の慢性的な掻痒による湿疹などの病変が持続する状態です。
じんましんなど一過性ではないことがポイントです。
年齢によって、発生する場所が異なります。
乳児では頭・顔(特に耳)から始まり、おなか・背中に拡大していき明日。
幼児以降であれば、四肢の関節を曲げる部分(肘・膝・足首)などにもにみられ、悪化すると体幹にも生じます
思春期・成人以降であれば、上半身に皮膚の病変が拡大する傾向があります。
アトピー性皮膚炎の治療は、原因の除去、保湿などの適切なスキンケア、外用薬・内服薬などの薬剤になります。
悪化因子としては、2歳未満の場合には食物(たまごなど食物アレルギーとの関連)、発汗、かびや細菌などが挙げられます。3歳以上の場合には発汗、細菌・真菌に加えて、寒暖差やストレス・食物などが考えられます。これらの原因を判断して、除去していくことが大事です。例えば、ダニが原因であれば高温多湿の環境をさけ、ぬいぐるみなどは定期的に洗い、掃除の頻度を増やすなど生活での対応を検討していきます。
アトピー性皮膚炎におけるスキンケアは、皮膚機能である水分保有機能の低下(皮膚が乾燥している)を抑えて、かゆみを感じやすい、細菌・真菌の刺激を避けることが大事です。
皮膚の清潔さを保つために、石鹸・シャンプーを用いて泡だてて洗う(こすらない)、汗や汚れは放置せず速やかに落とす、42度以上の高温の湯を避ける。
室内を清潔にし、適温適湿を保つことも大事です。
<薬物療法>
薬物療法としては表皮や真皮に炎症がおきているため、ステロイドの外用・保湿剤の外用が重要です。ステロイドが怖いという方も多いですが、適切な量を使用場所・使用期間を守ることにより血管拡張・色素沈着などの副作用は少ないです。症状が安定したら、免疫抑制剤の外用に変更していきます。ステロイドとは異なる種類の抗炎症外用薬が小児にも適応になりました。ステロイドのⅢ-Ⅳ群に相当する強さがあります。特に顔面など、ステロイド長期使用による副作用が気になるときにメリットの大きい外用薬です。
ステロイドを使用せずに炎症が悪化すると、かゆみコントロールできないほどまでなり、皮膚も固くなります。症状が悪化する前にしっかりとステロイド薬を使用し炎症を抑えることが重要であり、皮膚の状態の重症度に加え、個々の皮疹の部位、発疹の様子、及び年齢に応じて選択する必要がありますので、医師と十分に相談してください。
<アトピー性皮膚炎に合併しやすい感染症>
・伝染性膿痂疹(とびひ)
多くは黄色ブドウ球菌による感染です。全身に膿痂疹(じくじくした病変)が増加してしまう場合がありますので、抗菌薬の外用・内服などを併用する必要があります。
・伝染性軟属腫(みずいぼ)
ポックスウイルスによる感染症です。引っかき傷により、体内に多発しやすくなるため、傾ステロイド外用を一時的に中止することもありあす。
・カポジ水痘様発疹症
単純ヘルペス感染症が湿疹のある場所に感染して発熱など全身症状を伴います。ステロイドの外用は中止し、抗ウイルス薬を外用、内服、場合よっては入院を必要とすることもあります。
アトピー性皮膚炎は慢性の炎症であるため、根治は困難でありますが、症状のコントロールは適切な治療により可能であり、日常生活を送る上で薬を使いながら対応することが重要です。適切な治療により、目に見えた効果(皮膚やかゆみ)を実感しやすいです。